相続に必要な戸籍謄本を役所で取得する場合の請求書の書き方

広告

相続に必要な戸籍謄本を役所で取得する場合の請求書の書き方

相続が始まると、銀行預金の払戻や不動産登記などの手続きに必要な書類の一つとして戸籍謄本が必要になります。しかし、実際にどのように取得すれば良いのか、初めて手続きする方には不安や疑問がつきものです。

この記事では、相続にあたって必要な戸籍謄本を役所で取得するための方法と、具体的な請求書の書き方について詳しく解説します。特に、請求書の書き方には細かい注意点があり、この点についても丁寧に説明します。

さらに、万が一戸籍謄本が見つからない場合の対応もお伝えしますので、安心して手続きを進めるための参考になるでしょう。

相続手続きに不可欠な戸籍謄本とは何か

相続手続きを行う場面で、戸籍謄本は極めて重要な書類とされています。なぜなら、戸籍謄本には被相続人、つまり亡くなった方の家族関係や出生から死亡までの履歴が公式に記録されているからです。この書類を用いることで、法定相続人を確定し、相続財産の分配を行うことが可能となります。

第一ステップは被相続人の戸籍謄本

例えば、銀行預金の払い戻しや不動産登記などの相続手続きを進める際には、まず相続人が誰と誰になるのかを特定なければいけません。相続人の範囲は被相続人の死亡時における家族関係に基づいて民法により定められているので、被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本により相続人の特定を行います。

つまり、被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本は、相続手続きの第一ステップであり、これがないと、以降の手続きが滞り、相続財産の正式な分配ができなくなります。保険金の請求や、証券口座の相続手続きなど、他の多くの手続きでも同様に、被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本は必須となります。

第二ステップは相続人全員の戸籍謄本

また、相続手続きにおいては、被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本だけでなく、次の第二ステップとして相続人全員の最新の戸籍謄本も必要とされます。これは、特定された相続人が、被相続人の死亡時において被相続人たる身分をもって生存していたことを証明するためです。

以上のとおり、相続人の数が多く本籍地がバラバラである場合や、被相続人が出生から死亡までの間に何度も本籍地を変更している場合には、戸籍謄本の取得先の役所が複数にわたるため、多くの手間と時間がかかることになり、注意が必要です。

相続手続きに必要な戸籍謄本の取得方法

相続手続きに必要な戸籍謄本は、その本籍地の市区町村役場の戸籍担当窓口で取得することができ、具体的な取得方法にはいくつかのオプションがあります。例えば、直接役場に出向いて取得する方法、本籍地を管轄する市区町村役場への郵送請求、そして最近ではインターネットを利用した電子申請があります。

本籍地の役所窓口での取得

まず、最も一般的な方法は、本籍地にある役場に直接訪問することです。特に、被相続人の出生から死亡時までの戸籍謄本を取得する場合は取得すべき戸籍謄本に注意が必要なのですが、その場で役所の担当者に相談することができるため、必要な戸籍謄本を間違いなく、通常はその日に取得することができます。

出生時に遡るためには別の本籍地での戸籍謄本の取得が必要になる場合にも、役所の担当者に教えてもらうことが可能なので、次に何をすべきかが明確となり安心です。

また、2024年3月より「戸籍謄本等の広域交付」が可能となりました。取得しようとする戸籍謄本に記載されている本人、配偶者、直系尊属(父母、祖父母等)、直系卑属(子、孫等)だけが請求できるという限定はありますが、本籍地の役所以外の最寄りの役所で戸籍謄本を取得できるので、利用条件がある場合には活用することをおすすめします。

本籍地の役所へ郵送請求

本籍地の役所が遠方にある場合や、戸籍謄本等の広域交付が利用できない場合には、本籍地の役所へ郵送請求する方法も一般的です。役所の公式サイトや電話で取得方法を確認した後、サイトからフォーマットをダウンロードした戸籍謄本の請求書(「戸籍謄本交付請求書」)に必要事項を記入して役所に郵送します。請求書の書き方については後述します。

通常、戸籍謄本の郵送請求には、本人確認書類のコピー、所定の郵便切手を貼った返信用封筒、そして必要な戸籍謄本の種類や通数に応じた手数料(郵便局で郵便小為替を発行)を同封する必要があるので、詳細については各役所のサイトや電話で確認してください。

戸籍謄本の郵送請求は遠方にある役所からも容易に戸籍謄本を取得することができますが、通常は申請から取得までに一週間から一ケ月程度の時間がかかります。また、返信用封筒に貼った郵便切手の料金不足や、戸籍謄本発行の手数料不足が生じた場合、役所ごとに対応も違うことから、さらなる遅延の可能性もあるので注意が必要です。

インターネットを通じた電子申請

さらに、インターネットを利用した電子申請も一部の自治体で対応しています。この方法はオンラインで手続きが完結するため非常に便利です。電子申請にはマイナンバーカードなどの電子証明書が必要となりますので、それを用意した上で手続きを行います。手続きが完了すると、登録された住所に戸籍謄本が郵送されます。マイナンバーカードを使ってコンビニなどのコピー機から取得できる自治体もあります。

戸籍謄本の請求書の書き方

必要な戸籍謄本を確実かつスムーズに取得するためには、戸籍謄本の請求書(「戸籍謄本交付請求書」)に必要事項を正確に記入しなければいけません。特に戸籍謄本の郵送請求をする場合には、不正確な記入をすると戸籍謄本の取得が大きく遅延する原因になるので注意が必要です。

役所により請求書のフォーマットは異なりますが、だいたい共通して以下のような項目を記入します。

基本情報の記載

  1. 請求者の「氏名と住所」: 請求者のフルネームと現住所を書きます。請求者の生年月日や請求する戸籍謄本の筆頭者との関係を記入する場合もあります。
  2. 請求者の「連絡先」: 連絡が取りやすい電話番号を記載します。メールアドレスなどもあわせて記入する場合もあります。
  3. 請求する戸籍謄本の種類: 戸籍謄本か戸籍抄本かを明記します。被相続人の戸籍謄本については戸籍謄本が必要であり、相続人についても戸籍謄本であれば問題ありませんが、戸籍抄本でも可能な場合があります。

必要な戸籍情報

  1. 本籍地: 請求する戸籍の本籍地を正確に記入します。これには町名や番地までの具体的な住所が必要です。本籍地がわからない場合は、住民票(本籍地の記載あり)を取得して調べます。
  2. 戸籍の筆頭者: 被相続人や相続人が戸籍の筆頭者であるとは限りませんが、わからない場合は、被相続人や相続人の名前を書いておけば、たいていは担当者のほうで戸籍謄本を見つけてくれます。

詳細な記載

  1. 請求理由: なぜ戸籍謄本が必要かを簡潔に説明します。例えば「相続手続きのため」など具体的に記載します。
  2. 提出先: 戸籍謄本を提出する先を記載します。銀行預金の払戻であれば銀行名、不動産登記の申請であれば管轄の法務局などを記載します。

戸籍謄本が見つからない場合の対応

役所に戸籍謄本の申請をしても、目的の戸籍謄本が見つからない場合があります。具体的には以下のような場合がそうですので、慌てずに落ち着いて対応しましょう。

本籍地を間違えて記入した場合

戸籍謄本の請求書の「本籍地」に現住所を記入してしまった場合、戸籍謄本が見つからず、必要な戸籍謄本を取得することができません。戸籍の本籍地と現住所とが異なることは一般的なことです。事前に必要な戸籍謄本の本籍地を調べておくことが重要です。

現住所がわかっていて本籍地を調べたい場合は、住民票(本籍地の記載あり)を取得すれば、住民票に本籍地が記載されているのでわかります。正しい本籍地により、戸籍謄本の取得をすることができます。

出生時の戸籍謄本がみつからない場合

婚姻や転籍により出生時から死亡までの間に本籍地が変更されている場合もあります。そのような場合、出生時の戸籍謄本など、本籍地の変更前の戸籍謄本が見つからない場合があります。

このような場合には、本籍地の変更後の戸籍謄本に変更前の本籍地が記載されているので、その住所を管轄する役所に請求すれば本籍地の変更前の戸籍謄本を取得することができます。

まとめ:相続に必要な戸籍謄本を役所で取得する場合の請求書の書き方

相続手続きを進める際に戸籍謄本の取得は不可欠です。戸籍謄本の取得方法としては、本籍地の役所窓口での取得や郵送請求などがあります。とくに郵送請求の場合、請求書の書き方が非常に重要で、記載ミスが手続きの遅延を招く原因となりますので注意が必要です。

具体的な請求書の書き方としては、本籍地、戸籍の筆頭者、請求理由などを正確に記入することが重要です。

相続手続きをスムーズに進めるために、この記事があなたの参考になれば幸いです。戸籍謄本取得の準備を十分に行い、正確な情報を基に手続きを進めましょう。