相続手続きに必要な戸籍謄本の有効期限について確認しよう

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相続手続きに必要な戸籍謄本の有効期限について確認しよう

相続手続きにおいて、戸籍謄本の有効期限は重要なポイントです。本記事では、相続手続きにおいて戸籍謄本が必要となるケースや提出先ごとの有効期限について詳しく解説します。さらに、有効期限が過ぎた場合の対応方法についても紹介します。相続手続きを円滑に進めるために、ぜひ参考にしてください。

相続手続きにおける戸籍謄本の有効期限

相続手続きにおいて戸籍謄本は重要な書類です。相続手続きにおいて、どのようなケースで戸籍謄本が必要となり、どこに提出する場合に有効期限が問題となるのかについて解説します。

相続手続きで戸籍謄本が必要となるケース

相続手続きでは、戸籍謄本が必要になるケースが多くあります。いずれのケースにおいても戸籍謄本の主な用途としては、被相続人の死亡が確認された後、誰と誰とが法定相続人となるのかを特定する際の証明資料として用いられます。これは、遺産相続が被相続人の配偶者および血縁関係の近い者になされることから、相続手続きを始めるにあたって、被相続人の配偶者および血縁関係のある者を戸籍謄本により特定するためなのです。

戸籍謄本が必要となる具体的なケースとしては、被相続人が所有していた住宅や土地などの不動産を相続登記するケース(管轄の法務局へ提出)、被相続人が保有していた銀行預金などを払い戻すケース(該当する金融機関等へ提出)、相続税の申告を行うケース(被相続人の住所地を管轄する税務署へ提出)、被相続人名義の自動車を相続して名義変更するケース(管轄の運輸支局へ提出)などとなります。

法務局に提出する場合の有効期限

不動産の相続登記をする場合に、相続人の特定をするための資料として管轄する法務局に戸籍謄本を提出する場合、戸籍謄本の有効期限は定められていません。何ヶ月も前に発行された戸籍謄本であっても基本的には問題ありません。

理由としては、相続人の特定が被相続人の死亡時における親族関係にもとづいてなされるためであり、従って、被相続人の死亡時の親族関係が証明できる戸籍謄本であれば戸籍謄本の発行日からいくら時間が経過しいたとしても証明する効力に響がないからです。

なお、有効期限とは意味合いが異なりますが、被相続人の死亡時の親族関係を証明するという意味から、戸籍謄本は被相続人の死亡時以降のものが必要となります。正確には、相続税法施行規則という法律で、「相続の開始の日から十日を経過した日以後に作成された戸籍の謄本」が必要であるとされています。戸籍事項の変動が謄本に反映されるのに一週間から十日かかるからです。

法務局では、不動産の相続登記のほか、法定相続情報一覧図(相続人を特定するための家系図のような証明書)の作成を申請する際にも戸籍謄本を提出しますが、法定相続情報一覧図の作成申請の場合でも、法務局に提出する戸籍謄本の有効期限は定めがありません。被相続人の死亡から十日以降に発行されたものであれば有効です。

金融機関等に提出する場合の有効期限

被相続人の銀行預金などを払い戻すために金融機関等に戸籍謄本を提出する際は、その金融機関により、戸籍謄本の発行日から3~6ヶ月以内といった有効期限が定められていることがあります。戸籍謄本の有効期限が定められている理由としては、金融商品や財産の移転において、最新の戸籍情報に基づく正確な判断を行うことが必要だからです。

銀行預金を払い戻すことは、残された遺族の当面の生活費を確保するうえでも急を要する相続手続きなので、実際には何ヶ月も時間をかけることは少ないでしょう。従って、戸籍謄本の発行日から3~6ヶ月以内といった有効期限が定められていても、問題となることは少ないとは思われますが、戸籍謄本の有効期限は各金融機関に確認のうえ、すみやかに相続手続きを進めるように注意すべきです。

その他の公的機関に提出する場合の有効期限

その他の公的機関、例えば相続税を申告する際の税務署や、相続する自動車の名義変更を行う際の運輸支局などに戸籍謄本を提出する場合には、戸籍謄本の有効期限が定められていません。被相続人の死亡から十日以降に発行された戸籍謄本であれば有効です。

ただし、相続税の申告は被相続人の死亡から10ヶ月以内という期限が定められており、道路運送車両法では自動車の名義変更は所有者に変更があってから15日以内(ただし遅れても罰則などはない)に行うように定められています。従って、戸籍謄本の有効期限が定められていないからといっても、手続きそのものは速やかに行う必要がある点には注意が必要です。

戸籍謄本の有効期限が過ぎた場合の対応方法

金融機関等へ提出すべき戸籍謄本の有効期限が過ぎてしまった場合にはどうすべきなのか、その対応方法についてご紹介します。

戸籍謄本を再取得する

戸籍謄本の有効期限が過ぎた場合、まず考えるべきはその戸籍謄本の再取得です。例えば、被相続人の出生時までさかのぼる戸籍謄本では、遠隔地にある複数の市区町村役所でそれぞれ戸籍謄本を取得する必要がある場合もありますが、有効期限の切れた戸籍謄本を見ればどの役所でどういった戸籍謄本を取り寄せればいいのかが、既にわかっているので、これら戸籍謄本を郵送などで再取得することは、手数料と手間はかかりますが、それほど難しいことではありません。

ただ、戸籍謄本を郵送で取得するには2週間~1ヶ月ほど時間がかかるため、急ぎの場合には対応が難しいかもしれません。そのような場合には、遠隔地にある市区町村役所の窓口に出向いて必要な戸籍謄本を発行してもらうしかありません。窓口であれば、通常は即日取得が可能です。

法定相続情報一覧図を作成する

法定相続情報一覧図とは、被相続人とその法定相続人との関係を家系図のような一覧図にしたものです。この法定相続情報一覧図は、管轄する法務局に申請して作成される、相続人を特定するための公的な証明書であり、法務局での相続登記だけでなく、金融機関等やその他の公的機関においても相続手続きの際に使用されます。

法定相続情報一覧図を新たに作成する際には、被相続人の出生時から死亡時までの連続した戸籍謄本や各法定相続人の戸籍謄本の提出が必要ですが、一度作成すると、その後の再発行では戸籍謄本の再提出が不要で、しかも手数料も不要なので、大変便利です。

金融機関等へ提出すべき戸籍謄本の有効期限が過ぎてしまった場合、一旦、法定相続情報一覧図を作成したうえで、金融機関等には戸籍謄本のかわりに法定相続情報一覧図を提出するという方法で対応する案も検討すべきでしょう。もちろん、金融機関等で戸籍謄本のかわりに法定相続情報一覧図を提出することが認められているかどうかを確認することは必要です。

まとめ:相続手続きに必要な戸籍謄本の有効期限について確認しよう

相続手続きにおいて戸籍謄本の有効期限は非常に重要です。必要なケースや提出先に応じて適切に管理し、円滑な手続きを行うためには、期限の理解と対策が不可欠です。戸籍謄本取得が迅速に行えるよう準備し、万が一有効期限が過ぎた場合には、適切な手続きを心がけることが大切です。

相続手続きにおいては、情報の正確性が何より重要です。間違った知識により進めてしまうと、思わぬ時間ロスが生じてしまい、戸籍謄本の有効期限だけでなく、手続きそのものの期限を徒過するといった大きなリスクの可能性もあります。

もし少しでも不安を感じる場合は、相続を専門とする弁護士、司法書士、行政書士などの専門家のアドバイスを受けることも重要です。