遺言書の作成は誰に頼む?相談すべき専門家を選ぶポイント

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遺言書の作成は誰に頼む?相談すべき専門家を選ぶポイント

遺言書は、人生の最後に大切な財産や希望を託すための重要な文書です。しかしながら、その作成には法的な知識と慎重さが求められます。そうしたプロセスにおいて、誰に頼るべきかが大きな悩みの種となります。遺言書の作成に適した専門家を選ぶポイントについて考察することで、自分に合った最良の選択肢を見つける手助けができればと思います。

本記事では、弁護士や司法書士、行政書士といった各専門家の違いや、遺言書作成でこれら専門家を選ぶ際の注意点を詳しく解説します。遺言書作成のための心強い専門家を見つけるためのガイドラインを提供するため、あなたの疑問を解消し、不安を取り除くためのお手伝いをします。

遺言書には大きく分けて3種類あります。それぞれに特徴とメリット・デメリットがありますので、目的に応じて選ぶことが大切です。

遺言書の種類とおすすめ

遺言書の方式は7種類ありますが、緊急時用のものでない普通方式遺言というものが、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類となります。以下、この3種類の普通方式遺言を簡単に紹介した後、どの方式の遺言書を選ぶのがおすすめなのかについて説明します。

3つの普通方式遺言の紹介

自筆証書遺言

遺言者が自分で全文を手書きして署名押印する遺言書です。自分一人で手軽に作成でき、一切費用をかけないことも可能です。その反面、法律面での知識が無ければ、形式や内容の不備などにより遺言書が無効になったり、意図した通りの法的効果が十分に発揮できなかったりするリスクがあります。

なお、自筆証書遺言で作成した遺言書を法務局で安全に保管してもらう遺言書保管制度というものがあります。この遺言書保管制度を利用すると、法務局で遺言書の形式チェックをしてくれるので、遺言書が無効となるリスクを回避することができます。また、死亡時に遺言書の検認(家庭裁判所に遺言書を提出する手続き)が不要となる点も遺言書保管制度のメリットです。

一方、遺言書保管制度のデメリットとしては、手数料3,900円がかかること、遺言書の様式(A4サイズ、余白の大きさ、ページ番号など)が細かく定められていること、遺言者本人が法務局の窓口へ行かなければならないこと(家族や弁護士などによる代理も不可)、などがあげられます。

公正証書遺言

公証役場で、遺言書に記載したい内容を公証人に伝え、公証人が遺言書を作成する方法。形式や内容の不備などは生じないので、遺言書が無効になったり、意図した通りの法的効果が十分に発揮できなかったりすることがありません。遺言書は公証役場で安全に保管され、死後の検認も不要となります。公正証書遺言による遺言書は、最も確実で安心できる遺言書です。

一方、公正証書遺言は自筆証書遺言に比べて費用が高額になりやすい点がデメリットとなります。公正証書遺言で公証役場に支払う公証人手数料は、遺産となる財産の金額に応じた額で、1000万円〜1億円では5万円〜10万円程度。必要となる証人2人を公証役場で紹介してもらう場合は、その紹介料として証人1人あたり7,000円〜1万5,000円程度です。

秘密証書遺言

秘密証書遺言は、自分で作成した遺言書を、その内容を明かさず、遺言書が存在することのみを公証人と証人2人の前で証明してもらう方式です。遺言書の内容を誰にも知られずに済むこと、自筆でなくパソコンや他人の代筆でも有効なことなどがメリットです。

一方、秘密証書遺言のデメリットとしては、形式や内容の不備などにより遺言書が無効になったり、意図した通りの法的効果が十分に発揮できなかったりするリスクがあること、遺言書保管制度は利用できず、遺言書を自分で保管しなければならないこと、死後に遺言書の検認が必要になること、などがあげられます。また、公証役場に支払う公証人手数料が11,000円、必要となる証人2人を公証役場で紹介してもらう場合は、その紹介料として証人1人あたり7,000円〜1万5,000円程度です。

おすすめの遺言書は?

以上のとおり、遺言書が無効になったり、意図した通りの法的効果が十分に発揮できなかったりする心配がない公正証書遺言で遺言書を作成するのが一般的には推奨されています。遺言の内容をしっかり検討して作成し、内容を変更することが無いような場合には、公正証書遺言で遺言書を作成するのがおすすめです。

一方、気軽に作成できるという点では費用のかからない自筆証書遺言で遺言書を作成するのがすすめです。遺言書は何度でも作り直すことが可能です。最初から完璧な遺言書を作成するのは大変ですから、時間をかけて徐々に完成させていくつもりで、まずは自筆証書遺言で遺言書を作成してみるのもよいと思います。

遺言書作成をどの専門家に依頼すべきか?

自筆証書遺言や公正証書遺言であれば、理論上は自分ひとりで遺言書の作成を進めることが可能です。しかし、遺言や相続に関する法律の知識が無いと、誰にも相談せずに遺言書の作成を進めるのも不安です。

では、遺言書作成は誰に頼むべきでしょうか?やはり、遺言や相続に関する法律の専門家に相談すべきでしょう。そこで、遺言書作成を依頼できる専門家の種類と、専門家を選ぶ際のポイントについて説明します。

遺言書作成を依頼できる専門家の種類

弁護士

弁護士は、遺言書作成だけでなく、作成された遺言書の形式と内容が法的に有効であるかどうかを確認することもできます。また、遺産分割や遺産相続に関する法的な問題全般を扱うことができ、遺産相続に関する紛争が発生した場合には、裁判を通じて紛争を解決することも可能です。

司法書士

司法書士も、遺言書作成だけでなく、作成された遺言書の形式と内容が法的に有効であるかどうかを確認することができます。また、遺産分割や遺産相続に関する法的な問題をサポートすることもできます。特に、司法書士は不動産登記の専門家でもあるので、遺産の中に不動産が含まれている場合には、司法書士のサポートが有効です。

行政書士

行政書士も、遺言書作成だけでなく、作成された遺言書の形式と内容が法的に有効であるかどうかを確認することができます。また、遺産分割や遺産相続に関する法的な問題をサポートすることもできます。法的サポートでは弁護士や司法書士に比べて限定的ですが、料金的にも気軽に利用できるというメリットがあります。

専門家を選ぶ際のポイント

では、これら専門家を選ぶ際のポイントについて説明します。

専門性と経験

医者にも内科や外科と分野別に専門家がいるように、弁護士、司法書士、行政書士にも、相続・遺言が得意な者もいれば、そうでない者もいます。専門家に相談する前に、その事務所のホームページなどで相続・遺言が得意な専門家であるのかどうか、相続・遺言の業務に関する専門性と経験の有無を調べる必要があります。

コミュニケーション能力

遺言書作成は、遺言者の希望や価値観を文章に反映させるため、専門家には、遺言者の話をよく聞き理解できるコミュニケーション能力が重要となります。専門家を選ぶ際には、自分の話をよく聞いてくれるのかどうか、コミュニケーション能力の高い専門家であるかどうかを見極めることが重要です。

費用とサービス内容

専門家の料金や提供するサービスの内容を確認し、自分の予算やニーズに合った専門家を選ぶことも重要です。はじめての遺言書をお試しで気軽に作ってみようという場合には、サービス内容よりも費用重視で選ぶのがいいでしょう。

まとめ:遺言書の作成は誰に頼む?相談すべき専門家を選ぶポイント

遺言書は、自分の意志を明確に伝える重要な文書です。遺言書の作成には法的な知識が必要で、専門家の助けが有益です。遺言書作成に適した専門家としては、弁護士、司法書士、行政書士などがいます。選ぶ際のポイントは、専門性と経験、コミュニケーション能力、費用とサービス内容です。

適切な遺言書の方式と専門家を選ぶことで、遺言書作成のプロセスはスムーズに進みます。自分に最適な遺言書と専門家を見つけ、安心して未来を計画しましょう。